TOP  > 京都の観光情報  > 京の四季の花 5月  > 今月の花:菖蒲・皐月

 
 

■菖蒲
近頃はどうも五月五日よりも三月三日の桃の節句のほうが、お祝いが華やかな気がします。ゴールデンウィークの影響で、お父さんのサイフも疲れきっているからでしょうか。いや、本当は祖父母が男孫にしてあげるお祝いなのですが。端午の節句は別名「菖蒲の節句」とも言い、「菖蒲」は「尚武」に通じるということもあって、武家中心の社会では、五節句の中でも重要な日として定着しました。柏餅や粽を食べ、菖蒲酒を飲んで菖蒲湯に入り、兜を飾ったり鯉のぼりをあげたりと、かなり盛大に祝ったようです。私自身の体験では柏餅と粽くらいですかね。それ以外は祝ってもらった記憶がないですな。ところで、ハナショウブとショウブはどちらも「菖蒲」と書きますが、実はまったく違う植物です。ハナショウブはカキツバタと同じくアヤメ科に属しますが、ショウブはサトイモ科に属する植物です。梅宮大社に咲くものはアヤメ科のほうです。決してサトイモ科のショウブの花をハナショウブと言う訳ではありません。ではアヤメとカキツバタとハナショウブはどう違うのか。そういう疑問が湧いたなら、ぜひ梅宮大社へ出かけてみてください。ここにはカキツバタも咲きますから、なにかヒントがつかめるかも。

■皐月
サツキはその名の通り、旧暦の皐月ごろに開花することが命名の由来とされており、容姿からも分かるように、ツツジやシャクナゲと同じ仲間です。正しくはサツキツツジと言います。旧暦の皐月というのは、新暦に直すと多くが梅雨の時期と重なるようです。ちなみに「五月晴れ(さつきばれ)」という言葉があって、なんとなく五月のゴールデンウィークあたりの抜けるような晴天を連想しがちですが、本来、梅雨のあいだのわずかな晴れ間を指していたことは、意外と知られていません。その後日本でも陽暦を採用するようになってから、「五月晴れ」は言葉のとおり、五月のさわやかな晴天を指すものとして定着しているようです。一方、「五月雨(さみだれ)」も古来、梅雨そのもののことを言いましたが、これは今でも梅雨を指すことには変わりありません。というより、五月雨という言葉自体を、今はあまり聞くことがなくなってきました。文化は内外の様々な影響により変わるものですが、語意や用法を歪めてしまうことのありかたには慎重になりたいものです。植物の「サツキ」は新暦だからといって別に開花時期を早めるわけでもなく(あたりまえですが)、今でも美しいものを美しい時期に楽しめるのはありがたいことです。

 

◆菖蒲
梅宮大社の神苑に今年も菖蒲が咲き始めた。この時期は早咲きの花が中心だが、今年は他の花同様開花は一週間ほど早い。

 

◆皐月
善峰寺は西国三十三箇所の二十番札所として良く知られており、この季節は境内のあちこちに皐月が咲き、明るい雰囲気を醸し出している。

 
  '35年生まれ。'58年、関西大学商学部卒業後日本ハム株式会社入社。'00年、日本ハム株式会社常務取締役退任後、株式会社エヌ・エス・イー代表取締役社長に就任。'03年、株式会社エヌ・エス・イー代表取締役社長退任。勤務中は社団法人日本経営協会評議員、社団法人日本情報システムユーザー協会常任理事、IBMユーザー研究会関西代表幹事、IBMユーザー研究会論文審査委員長を務める。現在、日本アイ・ビー・エム株式会社発行の月間誌「IBMUSERS」の表・裏表紙に写真を掲載中。日本風景写真協会大阪第一支部長。