斎王(斎宮)として伊勢神宮に仕える皇女が、伊勢に向かう前に潔斎のために籠ったのが「野宮」。その場所は天皇の即位の度に決められていたが、この嵯峨野の野宮は、平安時代に嵯峨天皇の皇女・仁子内親王が籠ったのが最初といわれる。斎王の制度はその後、南北朝時代で廃止され、野宮もそれ以降は神社となった。『源氏物語』賢木の巻や謡曲『野宮』の舞台としても知られ、黒木の鳥居と小柴垣が当時の面影を今に伝える。 |
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斎宮(斎王)とは、天皇が即位するごとに、天照大神(あまてらすおおみかみ)の御杖代(みつえしろ)として、未婚の皇女が伊勢神宮にお仕えしたもの。その起源は、垂仁天皇の時代に皇女倭姫命(やまとひめのみこと)が各地を巡った後、伊勢神宮を定めたという神話に端を発しているという。壬申の乱の後に斎王制度として確立され、約660年に渡って続いた。その間、記録に残されている斎宮は64名。平安時代には、賀茂社に仕える斎王も選ぶようになったため、伊勢の斎王を斎宮、賀茂社の斎王を斎院と呼ぶようになった。 野宮神社は嵯峨野めぐりの起点として、また縁結び・子宝安産の神様として崇敬を集め、多くの参拝客が訪れる。最近は特に修学旅行生や若い女性などの間で縁結びの神様として親しまれ、多種多彩なお守りも人気を集めている。 |
華麗な行列が続く京の新しいお祭り | |
斎宮に選ばれた皇女は足掛け三年間潔斎の日々を送り、三年目の秋に伊勢神宮へと旅立った。その際の行列“斎宮群行”は、斎宮に仕える官人・官女など約500人に及ぶ大がかりな行列だったという。この行列を再現したのが十月の第3日曜日12時から行われる「斎宮夢行列」。地元の女性から選ばれた斎宮代はじめ官人・官女の華麗な行列が野宮神社を出発、JR嵯峨駅前から渡月橋を通って御禊の義が行われる保津川川岸まで練り歩く。この「斎宮夢行列」は2002年の秋で4回目を迎え、その名も浸透しつつあり、行列をひと目見ようと多くの人が訪れる。 お供の官人・官女は全国から一般公募するので興味のある人は問い合わせてみては。 |
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野宮神社を桂川方面に歩いて数分、天龍寺の向い側にある桜餅のお店。道明寺に電子水を使って作る桜餅を伊豆大島産の桜の葉で包んだ桜餅(1個100円)のほか、白・ピンクの桜餅の上に桜の花びらの塩漬けをのせた桜餅もおすすめ。桜餅と一緒に口に入れるとしっとりとしていて、いい香りが口中に広がる。 |
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葉脈もやわらかいのでまったく気にせずおいしく食べられる。ほかに、春にはこしあん入り桜風味の桜上用、秋には紅葉餅と季節限定品が出るのも楽しみだ。 寒いこの季節は、店内に設けられた囲炉裏風のテーブルでほっこりできる。2階の喫茶で、桜餅や京ぜんざい600円を味わうのもいい。 |
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嵯峨野は化野念仏寺のすぐ近く。築250年の蔵を改造した喫茶室や旧家の風情ある座敷で、名物の湯豆腐御膳や甘味が味わえる。湯豆腐御膳は湯豆腐に生湯葉、生麩田楽、古代米の黒豆入りごはんが付いて1,800円。 |
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嵯峨野の小さな豆腐屋さんが作った豆腐は、豆の香りがし、なめらかで濃い味わい。四月中旬から下旬にかけての限定だが、タケノコ造り、若竹煮、タケノコご飯などタケノコ三昧の「たけのこ御膳」も味わえる。特にやわらかいタケノコのお造りはここならではの絶品だ。幕末に建てられた座敷で庭の冬景色を眺めながらひとときくつろぎたい。喫茶室では自家製の抹茶わらび餅や、特製抹茶あんみつ、手作りの和菓子・蔵の石などが楽しめる。 | |||||||||||||
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