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備中は昔から柚の産地である。
ここ高梁を代表するお菓子である柚餅子(ゆべし)は、柚子に餅米をねりこんでつくられた風味豊かな和菓子で、茶菓子として好まれる。
柚餅子の製法を考案したとも伝えられるのが、江戸時代に備中国奉行として高梁に赴任した小堀遠州である。
京都の二条城や桂離宮庭園などの作事奉行として活躍した遠州が高梁の奉行を勤めたことは、京都とこの地との繋がりの深さを物語っている。
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京都府の愛宕山の南西に、嵯峨水尾と呼ばれる谷沿いの小さな集落がある。
ここもまた、秋になると山の斜面に黄色い柚子の実がたわわに実る柚子の産地である。
ここで収穫される上質の柚子を用いた「柚味噌」を専門に製造、販売しているのが、宝永五年(一七〇八)創業と伝わる八百三だ。
柚味噌にはいろいろな食べ方がある。
ふろふき大根や加茂茄子の田楽に柚子味噌を使うと絶品であるし、ゆがいた生麩やこんにゃく、豆腐などにつけても美味しい。
料理屋さんでは和え物などに工夫して使うことが多い。
そして、ジャムの代わりにパンに塗るのは、通の食べかたである。 |
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