萩焼を味わう〜作る
 
─ 萩焼とは? ─
ご存知のように萩焼は茶の湯から出発した道具で、普通の食器とは違った意味合いがありますので、ただ単なる器としてとらえるのではなく、精神性や一歩踏み込んだところの人間性が問われてくるものだと思います。
特に萩焼は表面的には派手な焼物ではありません。2種類の釉薬と、焼きそのものの色でみせていくだけのシンプルなものですから、余計に作り手の思いがはっきりと表れる、怖い焼物だと思います。
─ 萩焼の特徴は? ─
「萩の七化け」とよくいわれますが、萩焼は土の関係で焼き締まらないという特徴をもっています。このため使うとその分だけ色が変わるとともに、雰囲気そのものが落ち着いてきます。貫入などで色が染込んでくるわけですが、そこまで使い込んでくると、自分の身体の一部のようになってくるんですね。使い込んではじめて完成品となるわけです。
城山窯
登り窯の正面に置かれた清めの盛り塩。
窯焼は神への祈りから始まる。
─ 登り窯にこだわるのは? ─
登り窯は火が下から上に進む一方通行の窯なんです。ですから一つの窯のなかでも火のあたりの強いところ、弱いところとあり、どこに作品を入れるかが大事になってきます。
また、燃料に薪を使いますが、これを投げ込むタイミングであるとか、そのときの気温であるとか、いろいろな要素で焼きあがりの姿が変わってきます。もちろん最終的に自分の思ったものに近づけるよう努力するわけですが、こういった不確定な要素が多いほど、ときとして予想以上のものが上がってくるわけです。
ガスや電気の窯で焼けば、ある程度の予想の範囲で仕上がり、もちろんそれもビジネスとしては大切なことなのですが、決してそれ以上のものにはならないのです。
─ 萩焼を鑑賞するポイントは? ─
茶碗など手にとって使うものであれば、必ず触ってみることです。そこで、暖かいのか、冷たいのか、柔らかいのか、硬いのかなど、見た目との違いを意識しながら感じると良いと思います。あと、よく茶碗を見るのにひっくり返して高台を見ますよね。あれはその作家の力がすべて高台に表れるからなんです。高台の形はろくろでは、最後の一周で決まります。その一瞬の切り取りに、大げさですが作家の生き様があらわれるんです。ですからここだけはごまかすことができないんですね。
ほとばしる情熱の合間に誠実な人柄がうかがえる。
金子さんの作品を中心に展示したギャラリー
「萩焼陶芸会館」

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