大将軍てどんな神様?
大将軍神は方位をつかさどる星神のことで、中国の古天文学では天大将軍と呼ばれている。この神様の方位をおかすと、厳しいとがめを受けるとされる。中国の風水思想から起こった陰陽道信仰の中でも、重要な方忌に関与する神様として崇められ、恐れられている。建築、修理、動土、転居、旅立ちなど方位について最も気を使う事柄に関して、人々がお伺いをたて、お願いしてきたのがこの大将軍八神社だ。
大将軍信仰は奈良時代に大陸から入ってきたが、平安中期から鎌倉末期にかけてはもっとも盛んだった。たとえば白河法王は法成寺の塔供養の際、寺の位置が大将軍の方位に当たるというので御幸をとりやめ、源頼朝は養和元年(1181)、大将軍の方位が西方にあたるからと京都侵行を遠慮したとか。この信仰は今も脈々と続き、あらゆる方災を除けてくれる霊験あらたかな神様として親しまれている。
神社の境内奥にはなぜか大きな碇(イカリ)が。不思議に思い、宮司さんにお聞きすると、この神社所蔵の宝船の絵(明暦年間のもの)は碇が書いてある珍しいものとか。「多分それをご存じの方が奉納されたのでしょうね」とのこと。そういえば宝船の絵って確かに碇は描かれていない。
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