「出世稲荷」という、誰もがあやかりたい名前を持つのがこの神社。しかも開運出生・衣食住・地位名望・衆人愛敬・農工商その他一切の生業に大繁栄・延命長寿と病気平癒・千客万来・武運長久・善知識・金銀財宝と、何と10種類もの福が授かるというのもうれしい。
出世といえば誰もが真っ先に思い浮かべるのが豊臣秀吉。秀吉は幼い頃から稲荷五社の神を信仰し、いつしかこの五柱の神様が一柱の大活神になって、自分を守護してくれると考えるようになったとか。それ以来、やることなすことすべてがうまくいき、ついには天下統一を果たすことになった。関白太政大臣の座に就いた秀吉は、天正15年(1587)、聚楽第の造営の際に稲荷社を勧請。翌年には時の帝・御陽成天皇が聚楽第に行幸し、盛大な催しが営まれた。このとき稲荷社に参拝した天皇は、この神社に「出世」の称号を与えたという。その後、この出世稲荷は公家や大名の開運出世祈願の社として栄え、聚楽第取り壊し機に寛文3年(1663)この地に移された。江戸時代中期には隆盛を極め、鳥居の数も329本に達したとか。社殿の規模は小さくなったが、今も人々の信仰は変わらず、多くの参拝者で賑わう。
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