シダレザクラにヤマザクラ、ソメイヨシノにサトザクラ...。
想像以上に桜は種類が豊富です。
京都でも3月下旬から桜はつぎつぎ見ごろを迎え、訪れる人を楽しませてくれます。
そんな桜のなかから、今年はさまざまな"伝説"をもつ桜をご案内します。
常照寺は洛北・鷹峯の閑静なエリアに佇むお寺です。 鷹峯に芸術村を開き、琳派の祖となった本阿弥光悦が土地を寄進して創建されました。開山は日蓮宗中興の祖・日乾上人。のちに学問所として栄え、最盛期には学問に勤しむ数百人の学僧らで賑わいました。 この日乾上人に深く帰依したのが、吉野太夫と呼ばれた京都の名妓。さまざまな芸術に秀でた吉野太夫は豪商・灰屋紹益(はいやじょうえき)と結婚しますが、その美しさは遥か中国にまで響き渡っていたと言われます。吉野太夫は若くして亡くなりましたが、生前、常照寺の山門(赤門)を寄進しています。また、常照寺には参道や境内に彼女を偲んで植えられたという吉野桜があり、春、この地を訪れる人を楽しませてくれます。
常照寺 詳細情報
交通アクセス |
京都駅前」より 市バス50系統「千本中立売」下車、 市バス206系統「千本今出川」下車、 市バス205系統「千本北大路」下車、 |
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拝観料 | 300円 |
拝観時間 | 8:30~17:00 |
お問い合わせ | 常照寺 075-492-6775 |
京都御苑の中にはおよそ1100本の桜が植えられています。これらの桜は種類も色も、咲く時期もさまざま。御苑の中を歩くと、色々な場所でさまざまな桜を楽しめます。 御車返しの桜は烏丸通に面した中立売御門(なかだちうりごもん)からまっすぐ御所へ向かって進んだ左手にあります。この桜は里桜の一種で、毎年4月中旬頃に見ごろを迎えます。 「還車桜」という名は、江戸時代初期、後水尾天皇があまりの美しさに御車を還されたということに由来しています。 色の濃い枝垂桜などと比べると、還車桜は花の色も白く、かたちも丸っこい花束のようで、満開の風情はむしろ愛くるしい感じです。修学院離宮を造営するなど、高い美意識を持っていた後水尾天皇ですが、こんな桜もお好みだったのかと思うと、なんだか微笑ましい気持ちになってしまいます。
京都御苑 詳細情報
交通アクセス | 地下鉄烏丸線「丸太町駅」または「今出川駅」より徒歩5分 |
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拝観料 | 無料 |
拝観時間 | 終日入苑自由 |
お問い合わせ | 環境省 京都御苑管理事務所 075-211-6348(平日8:30~19:15) |
URL | http://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/ |
墨染寺は別名桜寺とも言われ、874年(貞観16)、清和天皇の勅願で創建された貞観寺が起源といわれる古刹です。豊臣秀吉の時代に日秀上人によって再興され、現在は日蓮宗のお寺です。境内には見事なソメイヨシノの古木があり、満開の時期は花が境内を覆うように咲き広がります。
そんなソメイヨシノの脇に植えられているのが「墨染桜」。891年(寛平三)、太政大臣藤原基経(もとつね)がこの地に葬られたのを悼んで、友人の上野岑雄(かんつけのみねお)が歌を詠んだところ、その心を感じた桜が墨染色に咲くようになったと寺伝は伝えています。
このとき岑雄が詠んだ歌が、「深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染めに咲け」というもの。
友人を喪った悲しみが、じわりと滲むような風情です。
現在の墨染桜は三代目。花の色は白とピンクが同居していて、想像していたより華やいだ雰囲気。けれどその華やぎの中にどことなく寂しさを感じるのは、墨染桜の伝説のせいなのかもしれません。
墨染寺 詳細情報
交通アクセス | 京阪電車「墨染駅」下車、徒歩2~3分 |
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拝観料 | 境内無料 |
お問い合わせ | 墨染寺 075-642-2675 |
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